Kファイル/スポーツドクトリンNO.312:目を覚ませ佐々木朗希投手
Kファイル/スポーツドクトリンNO.312:目を覚ませ佐々木朗希投手
無断転載禁止 2025年6月5日 木曜日 公開
河田弘道
スポーツ・アドミニストレイションの基軸は“Justice正義&Fairness公正
日本にスポーツ・アドミニストレイション論の必要性を紹介
日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイターの先駆者
(プロフィールは別途ご検索下さい)
著者からのお知らせとお詫び
2017年4月17日以来、Kファイル(河田弘道のスポーツBLOG)は、毎月決められた木曜日に原稿を311回出稿公開させて頂いて参りました。しかし、本年5月は、Kファイル出稿以来初めて何のお知らせもなくお休みをさせて頂きましたことに対して著者として誠に心苦しく残念でなりませんでした。
付きましては、5月中旬に突然PC(Personal Computer)がダウンしてしまったのがご心配、ご迷惑をおかけいたしました最大の原因でありましたことをご報告いたします。ダウンに対する手当を致しましたが、PCの長年の金属疲労による寿命であるとの専門家の診断を受けました。そこで新しい機種機器の発注、そして最大の難儀でありましたのは、壊れた機器に内蔵されているメモリーの損傷の有無に関する調査、次に膨大なDataの取り出し作業に大変な時間と労力を要しましたことをご理解ください。おかげさまで、高度な専門家の方々の手をお借りして最大の難題を解決処理して頂きましたことに心より感謝申し上げます。
漸くこのように読者の皆様にお伝えできる準備が整いました。多くの読者の皆様からご心配の連絡を頂いておりますが、ご返信もできない状態でありましたことをお詫び申し上げます。
著者 河田弘道
Kファイル/スポーツドクトリンNO.312:目を覚ませ佐々木朗希投手
佐々木朗希投手の右肩が悲鳴を上げた
Ⅰ.ビジネス優先による悲劇か
先ず初めに
1.佐々木投手に必要であったコアとは
2.球団スタッフが見落としていたのでは
3.佐々木投手専属PT、トレイナー達はどこを診てたか
4.今後に禍根を残したこの度の事件
まとめ
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Kファイル/スポーツドクトリンNO.312:目を覚ませ佐々木朗希投手
無断転載禁止
Ⅰ.ビジネス優先による悲劇か
先ず初めに
佐々木朗希投手(23)は、プロ野球球団ロッテに入団以来毎年のようにMLBへの移籍問題で話題を撒き散らせた選手でした。Kファイルの読者の皆様は、前回のKファイルNO.311をご笑読下さいましたでしょうか。本ファイルをご笑読頂いた皆様は、沢山の同選手にかかわる情報を得たのではと推測致します。如何だったでしょうか。
TV、マスメディアが報道する内容とは、視点が異なっていたのではないでしょうか。本記事を読み進めて参りますと、今日佐々木投手に起きたネガティブな現実を既に想定された野球ファン、読者の皆様がいた事は容易に推測できます。
ご承知の通り選手にとりましての最大のリスクは、怪我であります。佐々木朗希投手は、ロッテ球団に所属していた5シーズンこの問題を解決せず、自らの実力も鑑みず、無謀な手段、方法でMLBの世界に飛び込んだ次第でありました。
佐々木投手に付きまして著者は、KファイルのみならずKファイルNews Comment で述べてまいりましたが、最大の問題は同投手がプロで活躍をする為の心技体が非常にアンバランスであることでした。
ここで申し上げる基本的なコアとは、「心技体」の礎が大事であったことを指します。佐々木投手は、このコアの必要性と重要性を理解出来ていなかったか、今も理解できていないのかもしれません。もし、彼がこの必要性を自身理解しているのであれば、このような準備もできていない状態で手順を間違えるようなことは行わなかったと思われますが、いかがでしょうか。若干23歳の若者が何故そんなに先を急ごうとしたのでしょうか。
プロフェッショナルなトップアスリートは、強靭な心技体があって初めてスター選手へのスターダムを駆け上がれるチャンスが与えられるのです。その一つでも欠陥、弱点があれば競争の世界から姿を消さなければならない厳しい世界でもあるのです。素質だけでは、プロの世界では生き抜けないのです。
野球投手として人並外れた優れた資質を保有する佐々木投手は、160キロのスピードボールとそのスピードボールを生かした切れ味のあるシンカー(沈む変化球)を武器として、相手打者をバッタバッタと三振に取る事で観客、ファンを魅了し、さらなる期待が加味されるのです。これが出来て初めて、佐々木投手は、電通が期待する商品としての最高の価値を有する野球投手なのです。しかし、現在は、上記能力には程遠い商品としての価値を評価するレベルにまで至っていないことを証明したといえるのです。
佐々木投手は、日本球界所属時から業界関係者から、また野球に特化した専門的な臨床経験を有する医療関係者からもガラスのアーム(肩、肘)である、と揶揄されていたのも事実であります。その選手を所属球団のフロントも現場も、何か腫れ物に触るかの如くの扱いを入団時から5年間もされていたのは読者の皆様もご承知の通りであります。
この度、5月9日(現地)米国アリゾナ・ダイヤモンドバックス戦に於いて中5日で先発した結果、61球でKOされたのは、つい先日のことでした。その後、ドジャーズ球団は、佐々木投手を負傷者リストに入れ、本人には「ノスロー調整(投球禁止)」を言い渡し25人枠に入れたまま一軍ティームに帯同させている特別な扱いを受けている次第です。これは、佐々木朗希投手の現在の客観的な現実なのです。プロの競技スポーツの世界は、その人気は元より全て結果がその個々の選手の価値を評価される世界です。
5月13日、ロバーツ監督は、佐々木投手に付いての記者会見を行ったのでした。また同時に球団発表では、「佐々木朗希投手は、5月9日の対アリゾナ・ダイヤモンドバックス戦登板の後右腕の張りを訴えたということで、ドジャースは13日付けで、佐々木投手を、右肩の痛みのため、15日間の怪我人リスト(IL=List of injured)に入れると発表しました。病名は、インピンジメント症候群」でした。
これは、競技選手の肩の故障(関節の故障)時に用いられるティピカルな病名です。著者は、佐々木投手のここ2,3試合の投球フォームで肘を下げたり上げたりして来ていたので、やっているなと想像していました。多分彼は、肩の痛みを感じていたので痛みが少ない個所を探しながら本能的に投げていたのでしょう。今までのようにロッテ球団であれば、ハッキリと投球を放棄してきたが、MLBのドジャーズでは、そうは行かなかったのだろうと推察します。
著者が思うに元来佐々木投手は、右肩関節に構造的な問題を持っている可能性の高い選手なのかも知れません。たまたま人並み以上なローテイターカフの強さがあるので、強い球を投げてもそれをサポート、維持する為の周辺筋力、関節の可動域に制限がかかるので持続力が伴わないのかも知れません。
それらの専門部門のバイオメカニック、モーターラーニングの専門家達は、米国に居るので自身がロッテから引き抜いて同行させた医療スタッフ達ではこの専門分野はカバーしきれないと思われるので、より優れた専門家達に手伝ってもらった方が賢明だと思います。これは、広告代理店電通さんのマネージャー氏の範疇ではないのです。このままでは、潰れますよ。お気を付けください。
Kファイルでは、すでに申し上げましたが、佐々木投手はロッテ球団退団後当時のロッテ球団所属の3名の医療スタッフ(PT=理学療法士、トレイナー達)を引き抜き帯同させていると当時から聞き及んでいます。多分これら医療スタッフ達も所属するドジャーズ球団の佐々木投手の契約の中に了解事項として組み込まれているか、佐々木投手が契約雇用しているかのどちらかであろうと思われます。何れにしましてもドジャーズ球団は、これら佐々木専用の医療スタッフを容認して帯同を許可していると考えるのが自然です。
佐々木投手の怪我は、5月9日に起きたのではありません。著者が映像を拝見していても、ダイヤモンドバックス戦前の5月4日のアトランタ・ブレイブス戦、その前の4月27日のパドレス戦から、同投手のマウンドでのしぐさに異変を感じていました。
その光景は、肩か肘に異変を感じる動作が投球フォームから感じ取れていました。この延長線上には、このシーズン同投手の開幕戦から不安を抱えての登板であったように思われます。佐々木投手の制球力の無さは、この肩の問題に起因しているように思えてならないのです。
それらの根拠は、投球動作に入って間もなく同投手の肘の位置が各球種、各投球に於いて何処かを庇っているしぐさに見えていた事。次にこのしぐさを始めてから佐々木投手の生命線のスピードボールは、約10キロ減速していたことが故障、怪我の証であったことを証明していたにも関わらず何故見抜けなかったのか。これらは、本人からの申し出があろうが、なかろうが球団スタッフと医療スタッフの怠慢若しくは、ドジャーズ専属のトレイナー達は、業務内での越権行為に関わる事項には口出しできない、しないプロの世界なので口を閉じていたのかも知れません。
著者の推測では、この時から既に球団発表の「右肩のインペンジメント・シンドローム」であるならば、痛まない肩関節の位置を探しながらの投球であったのではとの仮説が立ったのです。
著者の素朴な疑問は、何故3名もの医療スタッフが帯同し、佐々木投手の肩の状態を把握していたはずの彼らは佐々木投手のパフォーマンスを止めるなり、ティーム医療責任者に報告をしなかったのか。
著者には、これらの不自然な行動が理解できない次第です。あるいは、本人の佐々木投手が代理人にもマネージャーにも医療スタッフにも痛みを伝えなかったか、口止めしていたのかどちらかだと思われます。この行為と問題は、後にロバーツ監督が厳しく会見で佐々木を叱責した根拠であると思います。
ドジャーズ球団に取りましては、佐々木朗希投手獲得に如何程の経費とエネルギーを要して、他の7球団を出し抜いて獲得したかを考えれば、監督、フロントの気持ちは、察して余りあります。球団に取りましては、佐々木朗希投手は金の卵であり貴重な財産なのです。その財産の佐々木投手が自らの判断で身体に違和感、痛みを持ちながら重大な情報を「我慢という一見美学として日本では捉えられる」が、MLBに至っては、企業のビジネスとして経営、運営、管理されている世界と社会には通じることではありません。
佐々木投手及びその取り巻きの個人スタッフの理解と認識は、ただの隠蔽目的の個人プレイと理解されるのです。このような重大な理解と認識のギャップと情報の不共有は、佐々木投手及びその関係者達の認識不足から招いた象徴的な事故、事件が此処に露呈したのでした。
球団としては、通訳も付けているのですから、佐々木投手、日本からの医療スタッフ達が英語ができないとの「言い訳」は、通用しないのです。
これに類似した事は、過去にも既に起きて大きな問題を引き起こし、莫大なポスティング料を支払ったMLB球団(ボストン・レッドソックス)は日本人投手が日本の球団から引き連れてきたトレイナーと同投手に自己責任を取らされて、その後の野球人生に大きな変化をもたらしたことを著者は、昨日のように脳裏に浮かぶ次第です。
何故これが禍根を残すかと申しますと、この結果により佐々木朗希投手の医療スタッフの行為、行動は、今までのような自由な佐々木投手への治療、コンディショニングの行為に制限がかかることが予想されるからです。佐々木投手が日本から引き連れて行った医療スタッフ達には、球団の医療責任者への個々のレポートが課せられ、フロントの選手管理統括責任者(GM)を頭にティームの医療責任者、現場の監督、投手コーチに対して情報が常に共有されるように強制されて行くであろうと著者は推測します。
これにより指導、運営、管理の縛りが強くなり、即ちMLBのスタイルの責任の所在がより明確に佐々木朗希投手には背負わされる事になるのです。
今後佐々木朗希投手がロッテ球団から引き抜いて行った医療スタッフに粛清が及ばないことを願う次第です。佐々木投手及びその関係者達は、現在は自身の身体(進退)は、LAドジャーズ球団の管理下にあるということを肝に銘ずるべきであると思います。
この度の佐々木投手の怪我は、起こるべくして起きたLAドジャーズ入団後の最初のトラブルでした。
本件について、佐々木投手本人は、「このような事はロッテ所属時から経験している」と確か発言されていました。しかし、このような重要、重大な発言は、慎むべきであると著者は思います。なぜならば、既に米国では、入団前から佐々木投手のニックネームを「言い訳の朗希」と呼びたがるマスメディア、ファンが居ることは元より、このような発言は球団ドジャーズ及び佐々木に関わったスカウト、フロント、現場に対して不信感を持たれることは佐々木投手にとってプラスにはなりません。
その根拠は、佐々木投手のこの類の発言は「LAドジャーズ球団が契約前にPhysical Examination(身体検査)で何も指摘されていませんでしたよ」と言い訳をしていると取られかねないということなのです。著者は、ここでLAドジャーズ球団の医療責任者の佐々木朗希投手の契約前の身体検査はどうであったのかに疑問を持っています。MLBの球団は、高い買い物をする場合は球団が欲しい選手に対する身体検査の検診、診断が甘未である事は現実です。嘗て、NYヤンキーズに日本人選手を獲得する際に於いても、怪我を診て見ぬふりをして入れた事が思い浮かびます。
既に佐々木投手を獲得できなかった7球団の経営者、管理者、担当マスメディア達は、佐々木朗希を獲得しなくてよかったと胸を撫でおろしている報道が日々醸成されています。これらの雑音をシャットアウトする為にも佐々木投手は、自らの甘い思考力を正して先ず自らを律して、必要不可欠な心技体の原点に立ち戻り、強靭な心技体を時間を掛けて構築するか、出来るかに彼の商品価値が問われていることを忘れてはなりません。
著者は、佐々木投手に申し上げたいのは投げるフォームが、今のままでは傷害リスクが高いのは自ら体験済みなので、どのようなフォーム(肩、肘の使い方)が、佐々木投手には適しているのかをスポーツ医科学の推移を集めた米国の機関で検診、診断して頂き自身が安心して不安なく投球に集中できるフォームに改善することが最重要な事であることを理解と認識をすることであると思います。このような事に契約金は、投資するべきでないかと思います。これにより同投手のストレイトへの制球力は、一段と改善されると思われます。
鳴り物入りで、夢のLAドジャーズ球団の一軍の25人枠に入れて頂いたのですから、このまま潰れて去るわけには行かないでしょう。
但し、大事な事は、その問題を改善するにあたって、医科学的な視点、実践キャリアの無い方々といくら話し合っても解決策は出てきません。適材適所の臨床経験のある専門家が居ますのでその方々の意見に耳を傾けるべきです。老婆心ながら苦言を申し上げました。悪しからず。
文責:河田弘道
スポーツ・アドミニストレイター
スポーツ特使(Emissary of the Sports)
紹介:G-File「長嶋茂雄と黒衣の参謀」発行文藝春秋社 著 武田頼政
本著は、2006年10月発売、翌年完売の為現在はAmazonで中古オークションで入手可能。河田弘道の西武・国土計画、東京読売巨人軍での激闘の日々のドキュメントです。登場人物は、全て実名です。
Kファイル、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada
この度は、小生のPCのトラブルによりご心配をおかけいたしました。この間に佐々木投手が早々に戦線を離脱したことは、非常に残念でなりませんでした。そこで、NO.312は、佐々木投手の現状、これからについてスポーツ・アドミニストレイターの視点で述べさせていただきました。
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