Kファイル╱スポーツ・ドクトリンNO.306:公益財団法人日本体操協会の役員は名誉職で職責・責務をなんとする!
Kファイル╱スポーツ・ドクトリンNO.306:公益財団法人日本体操協会の役員は名誉職で職責・責務をなんとする!
無断転載禁止 毎月第二、第四木曜日 掲載予定
河田弘道
スポーツ・アドミニストレイタ-
スポーツ・アドミニストレイションの基軸は“Justice正義&Fairness公正”
日本にスポーツ・アドミニストレイション論の必要性を紹介
日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイターの先駆者
(プロフィールは別途ご検索下さい)
塚原千恵子氏の強靭な精神と信念に敬服
この度は、今は亡き塚原千恵子氏への哀悼の意を込めてささやかながら彼女が孤軍奮闘されて来た体操界に於ける組織・団体の権力構造と、その中での陰湿で過酷な個々の引きずり落とし合いを果てしなく繰り返す悲しい姿をご紹介、ご笑読いただいています。
筆者は、この伝統と現実を読者の皆様が初めて目に触れ、肌で感じているのではないかと推測致しています。此れこそが日本の競技スポーツ界の実態なのです。読者、視聴者の皆様は、マスメディアの広報・宣伝活動に踊らされ一喜一憂しているオリンピックの舞台裏でも全く同様、其れ以上な汚い人間模様の集積場と化しているのです。これらの実態は、東京五輪に於いて自民党の五輪オタクとIOC、日本の広告代理店、仲介者達の酷い実態を目の当たりにされたのではないでしょうか。派手で注目を集める競技スポーツイベントの裏側は、「ヘドロの中でパイのピースを奪い合う人間模様」が実態であると表現させて頂きます。
これらの舞台裏は、誰もが口を開こうとしない閉鎖された談合社会の一面である証の様です。日本文化と社会の恥部な一面と社会の縮図かも知れません。協会役員の座は、そんなに美味しく居心地がよいのか。文句を言っても辞められない理由は、彼らにとっては美味しいパイをひとかじりのおすそ分けしてもらえるからの様です。嫌なら何故辞めないかの選択技は、一度味わうとしがみ付きたくなるのも仕方がない、病みつきシンドロームの様相です。
塚原千恵子氏は、体操界に特化した才能以外にも優れた才能の持ち主でもありました。この様な人物は、日本体育大卒の女性では非常に珍しい方でありました事をご紹介させて頂きます。このような有能な方であったので、卒業後指導者として日体大、体操部に残されてもいち早く見切りを付けられて朝日生命に移籍、独自の体操クラブを発起され半世紀に渡り女子体操界に君臨されたのはよく理解できます。千恵子さんの様な方こそ女性政治家として、活躍して頂きたかったと思う次第です。
スポーツは、「スポーツマンシップ」が大事だ、といつも大声を上げる顔面のでかい方は、全く「正義と公正の真意に程遠い」、いわばこの対極に居る人です。この方をこともあろうか、東京五輪の組織委員会会長に推薦、任命したのは一体どこの誰なのか。その方が何方であるか、読者の皆様の見識から致しますと即目に浮かぶでしょうか。読者の皆様には、このお方に対してどの様な印象をお持ちですか。これを口にされないのは、日本人の「美徳と賢さ」からなのでしょうか。それでは、この類の人間は、益々図々しく立ち回る事をご存じな筈です。
このような方に対して私は、こんなエピソードを記憶しています。
確か、塚原光男体操協会副会長氏は、2013年4月4日の日本経済新聞によると当時の参議院選に自民党公認(比例)で出馬されました。この事を読者の皆様は、ご存じでしたでしょうか。この時既に森喜朗氏を後ろ盾で橋本聖子氏は、何度目かの出馬をしていました。
塚原氏は、当時安倍晋三氏、石破茂氏(当時幹事長?)と面談、自民党公認で出馬されました。しかし、残念ながら既に東京五輪招致活動真っ只中で、政界のスポーツ利権者の悪代官氏は、各競技スポーツ団体に対して「塚原氏への応援に対する非協力要請(日体大は塚原を支援、応援しない)」との意味不明な暗号指令を各競技団体の専務クラスに直接電話攻勢をした結果、塚原氏は落選となった、と聞き及んでいます。
折角大枚な自民党公認料を安倍晋三氏、石破茂氏から頂きながら同じ党内のスポーツ利権屋に足を引っ張られて公認証書、公認料も無駄金となった事が思い出されます。この悲しい利権屋さんは、地元石川県能登、輪島の選挙民が今震災後厳寒の地で凍える生活を日夜強いられている事態を何と理解して、過ごされているのでしょうか。
ご主人の塚原光男氏の国政出馬を裏で支えられていた塚原千恵子氏は、安部昭恵氏との日ごろの交友関係の構築をフル活用されたのではないでしょうか。安部昭恵氏の努力も実らず落選された事は、何んと皮肉で残念であった事とお察し申し上げます。
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KファイルNO.67:緊急連載 体操ニッポンの危機
無断転載禁止 毎月第二、第四木曜日掲載予定
第四弾:組織・団体管理者はトータルマネージメント力が必要
1.傲慢な指導法はコーチングに在らず
先ず初めに
この度の宮川紗江選手記者会見に於いて、日本体操協会副会長の塚原光男氏と女子強化本部長の塚原千恵子氏からパワハラを受けたとの申し出が、記者会見の後半に於いてなされました。
本件に付きましては、既に公益財団法人日本体操協会(略:JGA)は、第三者委員会(5名により構成)を設置し現在調査が開始されたと理解致しております。
第三者委員会メンバー (日本体操協会発表)
委員長 岩井重一 元日本弁護士連合会副会長 東大卒
委 員 上田廣一 元東京高等検察庁検事長 明大卒
委 員 山崎 恒 元札幌高等裁判所長官 東大卒
委 員 伊井和彦 元日本弁護士連合会常務理事
委 員 松田純一 元東京弁護士会副会長 慶大卒
注:本委員会メンバーの招集者は、日本体操協会二木会長です。
本Kファイルでは、宮川選手の指摘の塚原光男・塚原千恵子両氏による宮川選手へのパワハラ行為の是非に付いては第三者委員会にお任せいたしたいと思います。筆者は、本件に関して自身の経験、体験を加味しながらスポーツ・アドミニストレイターの視点で述べさせていただきますので、読者の皆様には基礎知識として役立てて頂ければ幸いです。
パワハラとは「パワーハラスメントPower Harassment」の略です。意味は、職場の上司など権限を持つ者が、立場の弱い部下などに対して、力にものを言わせて無理難題を強要したり、私生活へ介入したり、ときには人権の侵害にあたるような嫌がらせを繰り返し行うことを言います。日本語辞書より。
ハラスメントHarassmentとは、英語では「苦しめること、悩ませること、迷惑の意」と解釈されています。
■パワハラの定義
日本では、厚生労働省が以下の定義を定めている事をご確認下さい。
パワハラは法律で具体的に明記されていないものの、厚生労働省で以下のように定義されています。 職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。
この度の件に付きましては、第三者委員会の委員の方々が弁護士の方々ですが、法律では具体的に明記されていない事のため、主観も入る難しい判断を迫られると思われます。委員会の最終結論は、何を持って、どのような尺度で判断するかが大変興味深いポイントであると思われます。筆者は、スポーツ・アドミニストレイターの立場から、TV、マスメデイアを通して得た報道資料を基に、解りやすく問題のポイントをお伝えできたらと思う次第です。
■暴力に関して
先ず、読者の皆様は、近年やたらと暴力、体罰、セクハラ、パワハラ、アカハラ、等々の言葉がマスメデイアを通して、また、社会に於いてこのような言葉が日常茶飯事のように使われていることにお気付きかと思います。そこでこれらの言葉、真意に付いて筆者は、シンプルな視点で整理したいと思います。
本来、これらの用語は、此処では人に対する「暴力(Violence)」を意味し、暴力は、①精神的暴力(心理的強制力)と②身体的暴力(物理的強制力)とに区別する事が出来ると思います。よって、此処で体操協会が発表した速水コーチに対する処罰は、②に対するものであります。片や、宮川選手が行った副会長、女子強化本部長に対する被害発言は、①に対する自身の主観を込めた内容が含まれている事も考慮しなければならないと思われます。②は、客観的な証拠があれば成立、処理できる問題です。
但し本件に於ける宮川選手と速水コーチの場合は、宮川選手が速水コーチの暴力を完全に容認しており、速水コーチと宮川選手との間(保護者同意の下か)で暴力指導を容認する約束事があるのであったなら、これは暴力の中に含まれる体罰が成立すると筆者は認識致します。近年語られる多くの体罰は、やる側やられる側に何の約束事も無い、唯の一方的な暴力であり、体罰と言う用語の適用は、殆どの場合は当てはまりません。
①は、証拠をどう証明するかが判断の基準となり、この手の問題は、難しく競技スポーツ、教育機関、等に於いても非常に難儀な問題であるのは万国共通です。
■宮川選手は被害者なのか?
被害を受けたとする宮川選手からの言い分を整理致します。
宮川選手は、会見の中で7月11日からのナショナルトレーニングセンター(略:NTC)での強化合宿中(詳しくは、15日)に、塚原副会長と塚原千恵子女子強化本部長に部屋に呼び出され、宮川選手個人の指導者である速水コーチの暴力の有無に付いて問い質された事が事の始まりであった、と理解します。
宮川選手は、「なかった」と断言、回答しています。後日、速水コーチは、暴力を認めた会見を自ら行った。これにより宮川選手の会見での回答との矛盾が生じたのです。一般的には、宮川選手が「嘘をついた」ことになります。
此処で、塚原副会長、塚原千恵子女子強化本部長は、既に速水コーチの身体的暴力指導に付いて、複数の指導者からも証言、確証を得ていたのだと思われます。此処では、被害者の宮川選手の口から直接証言を得たかったのが本音でしょう。
筆者は、本件の両氏の関わり方の第一歩に問題があったのでないかと思いますので、その問題、疑問を述べさせていただきます。読者の皆様は、既にTV、マスメデイアを通して本件に関する双方の主張、発言、説明に付いてご存知と思いますので、此処ではそれらの経過、内容に付いては省略させて頂きます。
2.日本体操協会のミスリードの可能性
■不明確な担当役員の職責と責務
筆者は、塚原光男副会長、塚原千恵子女子強化委員長を擁護するつもりはありません事を先ず申し上げておきます。
本件に関して、宮川選手が副会長、女子強化本部長に彼女自身に対するパワハラがあったとする部分に付いて、スポーツ・アドミニストレイターとして述べさせていただきます。
日本体操協会において、塚原副会長は、協会の屋台骨であります男女強化本部を総括する筆頭副会長と位置付けられています。そして他二名の副会長の具志堅幸司氏は第二副会長、石崎朔子氏が第三副会長の序列になっていますが、これらはいずれも協会規約には明記されているわけではありません。塚原光男副会長は、協会により筆頭副会長としてオーソライズ(公認)され、会長代行と位置付けられているようです。また女子強化本部長として、塚原千恵子氏がオーソライズされているのであれば、協会からの業務委託書があってしかるべきです。委託書があれば、女子強化本部長の権限は明快です。
問題1.
協会の専務理事、事務局長は、この委託権限内容の明文化したものを記者会見で何故公開しなかったのでしょうか。この委託内容を公開すれば、塚原副会長の権限細部、女子強化本部長の権限細部が一目瞭然となり、この度の両氏の業務は、権限内であったか、越権行為であったかが判断できたはずです。
少なくとも日本体操協会は、文科省(スポーツ庁)、内閣府がオーソライズした公益財団法人であり、日本を代表する選手を選考し、指導者、管理者を任命し、重責を委託する組織、団体なのです。
日本体操協会は、その重責を担う筆頭副会長や、指導、運営、管理を行う担当女子強化本部長を任命するに当たり、依頼書、業務委託書、権限詳細の覚書か同意書が双方に寄って交されているのかどうかは大変重大なガバナンス及びコンプライアンスに関わる問題であります。
このような事務管理に必要な諸手続きが無かったとするならば、公益財団法人の組織、団体として運営、管理が正常に行われていないと断言できます。よって、日本体操協会は、組織、団体としての本質的な欠陥が全ての問題の元凶になっていると指摘されても仕方がないレベルなのかも知れません。
しかし、このような状況が事実とするならば、公益財団法人を監督する各府省庁(内閣府、文科省、スポーツ庁)は、何故迅速な行動を取らないのか。何の為に監督官庁があり、公金で生活されているのではないのでしょうか。各競技団体で毎日のようにスキャンダルが発生する度に、団体の責任者達は、監督官庁に「報告」に参り、監督官庁は「遺憾」に思います、と返答する事が彼らの業務なのかと呆れて言葉も出ません。これでは、小生でも務まります。此処に日本のスポーツ界のグレイな元凶があるのでメスを入れなければ、状況は好転しないと筆者は確信を持っております。日本のスポーツ界は、クリーンでなくグレイなのが特徴のようです。読者の皆様は、そう思われませんでしょうか。
問題2.
次なる大きな問題は、代表選手選考に関する選考方法は公示されている通りです。しかし、代表選手選考後にこの度のような問題が起こり得る事を想定しての準備、手順、規約、規定、罰則が明文化されているのかどうかが非常に疑問に思われます。
スポーツ・アドミニストレーションの基本は、「フェアネス」に在ります。協会には、この本質の基軸が無いのか、元来無いに等しい状態で運営、管理がなされているのでないかと疑念を抱きます。専務理事、女子強化本部長、事務局長が、最初に、取り行わなければならない事は、選考された代表選手及び選手が所属する体操クラブ及び教育機関と体操協会との間の約束事(契約書か、同意書)を結ぶ事が重要な協会の業務なのです。
何故ならば、今日に於いては、プロ選手もいる、未成年者、学生選手、学生選手でありながらプロの行為を行っている選手もいる事を忘れてはなりません。また、選手達は、体操協会の私物では無いのです。よって、約束事には、代表選手としての報酬、諸経費、帯同コーチへの報酬、諸経費、トレーナー、医師、保険、等の有無、各選手個人の指導者、コーチの処遇、存在の取り扱い方、合同練習時、試合時の業務分担、指導者の責務と範疇、その選手の最終指導責任者、等の詳細の項目に付いて、同意か否かを選考された選手、選手個々のコーチ、未成年選手には特に保護者同席の下、十分な説明をした上で契約、同意を得る事が重要な業務であり責務なのです。
このような作業手順を踏んでいたならこの度の宮川選手からのような問題も事前に双方でクリアーできたのです。このような手順を踏んでも尚、選手側、指導者側が不満であるなら協会側は、提示した以上の条件改善できない事を説明し、選手側に代表選手としての任をお断りするくらいの毅然とした態度と事務管理をされる事が望ましいと思います。
しかしながら、日本体操協会は、このような運営、管理がなされているのかどうか、マスメデイア記者から記者会見で体操協会側に質問、確認が無かったのは、プロのマスメデイア記者としての学習と資質に少し寂しさも感じた次第です。
問題3.
塚原千恵子女子強化本部長は、何故宮川選手を呼んで速水コーチの暴力の有無を事情聴取した際に、本人、保護者の了解を得ずに録音記録を残し、後に公開したりされたのでしょうか。これは、競技スポーツの運営、指導、管理者として選手に対するモラルに反する行為であったと本報道を耳にして最初に感じた次第です。
記録を残すほどの重要な案件であったなら、組織、団体としてその任にある専務理事、事務局長、或は、総務、広報委員長を同席させるべきであり、自身の夫であり、協会要職にある副会長を立ちあわせた事は公私混同と他意がある、との批判をされても仕方のない行動、行為であった思います。
また、本代表選手の合同合宿は、女子強化本部長が運営、指導、管理する事から、各選手へのアドバス、指導、個別面談には各担当コーチを同席させる事が常識です。もしこのような事が成されていなかったとするならば、同強化本部長は、朝日生命体操クラブの合宿と同じ感覚で代表選手、スタッフを考えており、二つの異なる組織、団体の運営、管理者としての区別、仕切りが自身に出来ていなかったと理解されます。よって、個々の選手、及び指導者、所属先に対する配慮は、管理責任者として不可欠なのです。此のあたりの認識が、非常に甘かったのではないかと思います。女子強化本部長としては、もう少し「トータルマネージメント」に必要不可欠な「ヒューマンスキルとコミュニケーションスキル」の部分が得意でなかったのが残念に思う次第です。
まとめ
本kファイルに於きましては、主に公益財団法人日本体操協会のアドミニストレイションの貧困と塚原光男副会長、塚原千恵子女子強化本部長に相手の立場、相手を気遣う心があれば防げたのでないかとの思いを述べさせていただきました。読者の皆様に於かれましては、何か見逃されている大事な項目が見つかりましたでしょうか。
TV、マスメデイアは、散々本件を食い散らかした揚げ句に、先出した善人、悪人のイメージをサブリミラル効果により国民に残したまま、次のスポーツスキャンダルを追っかけて立ち去ろうとしています。これも日本社会に於けるTV、マスメデイアの罪とその貧困を象徴する現象なのかも知れません。読者の皆様は、スポーツ・アドミニストレーションに基軸を置かれて、確りとした観察力、洞察力を持って、事の次第をご判断されますことを切に願う次第です。
文責:河田弘道
スポーツ・アドミニストレイター
スポーツ特使(Emissary of the SPORTS)
紹介:G-File「長嶋茂雄と黒衣の参謀」発行文藝春秋社 著 武田頼政
本著は、2006年10月発売、翌年完売の為現在はAmazonで中古オークションで入手可能。河田弘道の西武・国土計画、東京読売巨人軍での激闘の日々のドキュメントです。登場人物は、全て実名です。
Kファイル、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada
お知らせ:次週は、本テーマの最終としまして、この度のパワハラ問題の記者会見の告発で、「クラブ間の引き抜き」云々をパワハラ問題の心証を悪くするための道具として持ち出されました。そこでここKファイルの最終章でこの引き抜きの現実とそのメカニズムをお伝えできたらと考えております。
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