Kファイル╱スポーツ・ドクトリンNO.307:体操ニッポンの危機 文科省、スポーツ庁は私営体操教室、体操クラブに直接的な手を差し伸べよ!

Kファイル╱スポーツ・ドクトリンNO.307:体操ニッポンの危機 文科省、スポーツ庁は私営体操教室、体操クラブに直接的な手を差し伸べよ!

無断転載禁止             20241226日 木曜日

 


河田弘道

スポーツ・アドミニストレイタ-

スポーツ・アドミニストレイションの基軸は“Justice正義&Fairness公正

日本にスポーツ・アドミニストレイション論の必要性を紹介

日米で実践してきたスポーツ・アドミニストレイターの先駆者

(プロフィールは別途ご検索下さい)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

年末年始のご挨拶

本年も残すところ僅かとなりました。この一年間、読者の皆様のKファイルへのご興味、ご笑読を賜り厚く御礼申し上げます。

著者は、Kファイルが2017417日に掲載、公開を始めて以来今日迄継続出来ている事に感謝致します。これもひとえに掲載の機会を与えて下さっていますプログ各社に対して心より感謝申し上げます。字を書くのが苦手で「Gファイル」以外一度も文章を書いて公開した事が無かった小生は、自身の専門分野のスポーツ・アドミニストレイション論及びスポーツ・アドミニストレイターとしてその経験、体験を後世に残すためには自ら書かなければんらないという選択に迫られた次第でした。塵も積もれば山となるを実践して参りました結果、約150万字を超えてしまったのには、我ながら驚いています。

読者の皆様に取りまして新しい年が平和で共生の年と社会であります事を心より祈念致しております。深謝

河田弘道 拝

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

読者からの感想分

河田弘道様、

Kファイルをいつも楽しみに読まさせていただいております。NO.306を拝読しました。

 「月面宙返り」で知られる塚原光男氏を長年に渡って支えてきた千恵子夫人が9月に亡くなられ、エピソード満載の評伝を期待しましたが、そこまでプライベートな側面を取り上げるでもなく、突っ込んだエピソードにも踏み込まれず、今回はそれとなく垣間見える程度にとどめられた点に、著者と夫妻との親密度の距離感を忖度させていただきました。

 そうは言っても、2013年参院選への光男氏の出馬、落選が自民党公認でありながら、政界のスポーツ利権者の圧力によって邪魔された経緯や千恵子夫人が日頃から安部昭恵氏と交友関係にあったことなど。さらには、過去のパワハラ問題などを再検証され、著者のいつもながらの豊富な情報と鋭い洞察力を駆使した構成には、いつもと変わらず、スポーツ界の闇を感じました。

 著者の千恵子氏に対する人物評が、体操界に特化したものだけではなく、「千恵子さんの様な方こそ女性政治家として、活躍して頂きたかったと思う次第です」とあり、改めて早過ぎる死を感じました。故人の功績をたたえ、ご冥福をお祈りしたいと思います。

Kファイル愛読者より(マスメディアスポーツ担当記者氏)

 

20241226日 木曜日

KファイルNO.68:緊急連載 体操ニッポンの危機

無断転載禁止         

第五弾:国のスポーツ政策と施策の貧困

KファイルNO.307は、宮川紗江選手がパワハラ告発記者会見で発言しました「体操クラブ間での引き抜き」問題を主に取り上げます。今日の体操ニッポンを支えています男女代表選手達は、体操クラブ、体操教室の出身者であります。

文科省、スポーツ庁は、口先の注意喚起ではなく私営の体操教室、体操クラブに直接的な財政支援体制を今遂行しなければ、父母の支援だけでは事業は成り立たなく、指導者も行き場を無くする事態となります。オリンピック大会の度にのみ現場指導者、選手を利用するだけでなく、日ごろの物心の支援がなければ潰れてしまいます。文科省、スポーツ庁、法人団体は、責任ある職責と責務を果さないで、いつも遺憾に思いますでは、本末転倒です。

体操ニッポンの危機は、今回を持ちまして最終回とさせていただきます。最後までご笑読下されば幸いです。尚、本NO.307は、NO.68をベースに加味した内容となっています事をご了承下されば幸いです。

1.公益財団法人日本体操協会の運営・管理の怠慢

先ず初めに

この度パワハラ問題を日本記者クラブに於いて告発した宮川紗江選手(18歳、プライベイト体操クラブ所属)は、日本体操協会の指導、管理責任者の塚原光男氏(男女強化統括副会長、理事、朝日生命体操クラブ所属)、塚原千恵子氏(女子統括強化本部長、理事、朝日生命体操クラブ所属)に対する不満による不信が根源にあると著者は、推測致しました。また、この時点で宮川選手及びその関係者達には、「此のままでは東京五輪に選考されないのでないか」との不安が在ったのかも、とは深読みすぎるかも知れません。

選手及び、選手の所属先、指導者コーチ、そして保護者は、選手強化・育成において利害関係の当事者であり、公益財団法人日本体操協会(略:JGA)は、これまでその利害関係者達への十分な配慮、気配りを成さずに伝統的な運営、指導、管理を遂行して来たのでないかと推察するからです。

優秀で手塩に掛けて育てて来た選手が他のクラブへ一方的に移籍する行為が今なお横行する状況下、所属先の指導者、経営、運営、管理者の怒りは、行き場を失っていたのです。この山積した怒りは、この度の宮川選手の暴力、パワハラ事件の告発の根源にマグマの如く蓄積されていたと著者は客観的に捉えています。此れに類似した問題は、体操クラブ間のみならず、体操クラブと大学教育機関との間に於いても長年大きな問題となっているのも事実です。また、男子体操界に於いては、高校と大学、クラブ間での取引が問題化しているのも事実です。これら未成年の選手達には、父母が居て息子娘の為にモラルを逸脱した行動に走るのもまた大きな問題の要因の一つです。

この程著者が最初に感じた問題点は、「代表選手を招集したナショナルトレーニングセンター(略:NTC)での合宿中に、コーチの暴力の有無を確認するため、18歳の宮川選手を管理部屋に同選手の個人コーチの暴力の有無の確認をする為に呼び出した」事です。

本件の問題点は、選手が18歳の未成年者である事、同選手は保護者の管理管轄下である事、同選手には個人のコーチが帯同している事、また同選手には所属クラブ或はそれに類する所属組織、団体が在って体操協会への登録もなされていることです。そして、そこに役職は異なるとは言え、男女強化本部統括副会長の塚原光男氏が同席した事です。この状況下(シチュエイション下)は、まさに宮川選手にとっては、日ごろの関係者達からの情報から敵対関係を抱いたのではと推測されます。

もしも塚原千恵子女子強化本部長が日体大での教職経験以外に、スポーツ・アドミニストレイションを学ばれていたならば、このようなシチュエイションの下での面談設定はしなかったかと思われます。何故ならば、各代表選手は日本体操協会の私物ではなく、各所属体操クラブ、教育機関、等からの代表者でもある事を理解できるからですよって、日本体操協会を代表する指導者、管理者は、各代表選手に対する指導、管理をフェアーな立ち位置で対処しなければならない基本原則がそこにはあるからです。つまり、NTCで宮川選手への面談(事情聴取)を行うなら専務理事、事務局長、等の協会フロント担当者が同席し、まだ18歳の宮川選手の保護者も同席する事により、フェアネス(公正)のバランスが維持されるのです。このような事実からも公益財団法人日本体操協会は、未熟(immature)と言われても仕方のない競技スポーツ・組織、団体でないかと苦言を呈させて頂きます。読者の皆さんのご意見は、如何でしょうか。

本件の問題の起点は、体操協会の男女強化本部の統括管理者が塚原光男副会長であり、塚原千恵子女子強化本部長とはご夫婦である事、そして、両氏が民間の体操クラブの代表者である事がスポーツ・アドミニストレーションの視点から申し上げますと誤解を招く元凶になっていると思われます。(権力の集中)

此処で再度申し上げますと、女子強化本部長に対して日本体操協会は、常務理事職以外に女子強化本部長への「業務委託内容の詳細が情報公開されていない」事は、今後も大きな禍根を残す事になるかも知れませんその重要なポントは、組織に於いて運営、指導、管理している関係者は如何にして、選手を含めた関係者の「フェアネス(公平、公正)」を維持するか、出来るかなのです。此れが保たれなければ、次には、二つ目の大きな問題となる「コミュニケーション」が維持、発展しなくなるのです。本件は、その最たる問題の証しであります

民間の体操クラブの出現と伝統的な指導法

此処で少し、日本体操界の歴史に付いて触れてみたいと思います。1964年の東京五輪を終え、1970年代中盤から後半に入ると、米国の選手の競技力が世界に台頭して参りました。日本の体操関係者は、米国の躍進の原因と原動力を否定しながら知りたがり、日本との違いを取り入れようとそれまでのヨーロッパ特にドイツ、そしてソ連に向けていた目を米国へと移し、興味を持ち始めた時期でもありました。塚原千恵子氏もその一人でした。

我が国の器械体操の指導は、伝統的に学校体育の授業がその起点となって来ていました。日本の体操選手の育成、指導方法は、元来ドイツ方式に偏っていたそれまでの思考が米国の合理的な方式を取り入れる柔軟な思考に興味を持ちだしたのです。その方向に行かざるを得ない国内事情がそこには存在し、大きな要因となったと著者は当時を知るものとして理解する次第です。

これからの体操選手の育成、指導は、今迄のような学校体育に頼る体操選手の育成、指導法でなく、米国式の体操クラブの普及がこれからは大事である事に気づき始めたのです。これは、丁度日本国内の体育の教員の就活が厳しくなり出した事情にも大きく関係しており、教職課程を取り体操競技部を卒業した後クラブへの就職に興味を持ち始めた時代でもあったと思われます。

器械体操の選手指導は、伝統的に小学校からの学校体育に於いて、体育の先生、指導者によりマット、跳び箱運動、倒立指導、振動系の鉄棒運動から始まります。しかし、ここで問題なのは、小学校の体育の先生になる為には国立大学の教員資格(一級)を持っていなければ、現在も上記指導が出来ない文科省の片手落ちの教員資格認定基準が立ちはだかっているのです

中学校、高校に於いて初めて体育の先生、指導者の中の器械体操のスキルを持った経験者により、課外活動である器械体操部として段階的な指導を積み重ね、最終的には競技大会に出場する為の演技の構成、指導をして行く大変な実技指導を必要とする競技スポーツなのです。日本に於ける器械体操競技は、伝統的に男子6種目(床、鞍馬、跳馬、吊輪、平行棒、鉄棒)、女子4種目(床、跳馬、平均台、段違い平行棒)の総合得点で競うオールラウンド(全種目出場)選手のみを器械体操選手と認められて来たのです。

当時片や米国ではすでに1種目か2種目しかトレイニング、競技をしなくても競技大会に出場できるルールが確立されていたのです。これがご存じのように今日では、五輪、世界選手権でも1種目のみのスペシャリスト選手が出場でき、メダルを獲得する時代になりました。此れも米国式のスタイルの重要性が国際的に認められ承認されたのでした。日本は、このスタイルに大きく乗り遅れ男子、女子の低迷期が長く続いた次第です。日本では、白井健三選手(床運動、跳馬のスペシャリストから6種目のオールラウンダーとなった選手の一人)は、床、跳馬のスペシャリストでした。

体操競技者と指導者の底辺

今日の男女代表選手は民間クラブ出身者

器械体操指導の特徴は、子供達とマンツーマンの指導が不可欠である事です。特殊な器具の使用と指導者の補助(怪我防止、スキル向上の為)が必要不可欠で、特に女子は、男性指導者、補助者無くしては技術の向上、強化が難しいのも特徴の一つです。男女差がこれほど大きな競技スポーツは、珍しいかも知れません近年では、女子の技術の向上は練習時の補助者の補助技術のレベルに寄り格差が生じているのも確かです

現実的には、学校体育の授業が中心であった時代から時代と共に指導者が激減し、競技スポーツの多様化もあり、子供達が体操に対する興味を低下させ、器械体操人口の低下も招いています。今日では、子供達が家庭で壁に向かって倒立をして身内に見せる光景が無くなったのも、学校教育の中で体育の先生が体操の指導をしていない、出来ない教員が大多数である証でもあるのです

このような学校教育の現状と環境から、これに伴い私的クラブ(体操教室、体操クラブ)の普及は、器械体操競技の経験者が私的クラブの経営、指導を始めるようになったのが我が国の体操クラブの始まりであると思います。このような現実を文科省、スポーツ庁の専門家の顔をした方々は、只国家公務員試験に合格した机上の論理のみが優先され、現場の実態に耳を傾けようともしない事が多くの重大なミスを犯していると言えます。

今後将来に於いて体操ニッポンの伝統を維持する為には、競技スポーツと同時に小学校で指導できる教員資格を国立大卒のみならず、私大卒の資格者にも1級を授与する改善、改革が望まれます。また、国の直接的な人材、財政支援とサポートが必要不可欠な時期に来たように思われます

この重要な問題に対して、国(文科省、スポーツ庁、JOC、競技団体)は、オリンピックのメダル獲得のみに期待を寄せるが、現実の実態に付いては目を背けているのでなく、正面から現場に降りてきて直視する勇気とその情熱が必要です。これなくして改善、改革の道など程遠いのです。

■民間体操クラブの現状と問題

現在は、全国に約288の体操クラブが経営、運営され一般財団法人全日本ジュニアー体操クラブ連盟に加盟し、其のうち約122のクラブが競技に参加しているのが現状と思います。これは、丁度今日の水泳クラブの経営、指導、運営、管理を小型化した組織、団体と評した方が理解し易いかと思われます。読者の皆さんは、このような現状を初めて知ったのでないでしょうか。

体操クラブの大半は、民間による体操教室、体操クラブ、体操スクール、体操センター等の名称で呼ばれています。中には、地方自治体の支援を受け場所の提供を受けたり、器具、施設の貸し出しを受けたりしているクラブもある事も事実です。大多数のクラブ、教室では、個人の投資、或はスポンサーの広告宣伝の一環として、また、企業の地域社会への還元の一環として補助金を受け乍ら経営をしているのがクラブの経営状況です。しかし、これらもごくわずかな投資と申し上げて於くのが適切かと思います。

大半のクラブ、教室は、子供達の授業料が主な財源であり、施設の管理費、諸経費、人件費、事務、医療、傷害保険、等々からしますと経営の余裕は無く、負債を抱えての苦しい経営を強いられているクラブ、教室が多く増えているのが現実の様です。

競技スポーツの国策、施策を根幹から改善、改革して行かなければ場当的な付け焼刃では、スポーツが文化として根付かないのです。この様な現状に於いて、経営者、指導者は、幼児からの体操を通しての指導に情熱を注がれているのです。この環境から、ごくわずかな子供達が体操選手への道が開かれて、階段を昇って行くのです。S級の選手が誕生したその小さな体操教室、体操クラブでは、クラブの子供達、指導者達、経営者、父母会、後援会の宝であり、スーパースター、そのクラブのヒーローなのです。この様にして町の体操教室、体操クラブからマスメデイアでとりあげられる体操選手が出現しますとクラブ、その地域、教育機関、クラブメンバー達は、大きな夢を抱き、関係者にとりましても目標ができポジテイブなモチベーションとなり、計り知れない恩恵に関係者一同が味わい、預かるのです。

体操クラブ間の移籍問題

上記のような環境と状態にあるローカルのヒーローがある日突然に、他の規模の大きな体操クラブへの移籍を申し出たら、今迄所属し、手塩に掛けて育てた指導者、経営者、管理者の心境は、怒りとなり多分一般の社会人であっても、此の怒りが如何ほどのものか推測されるのではないでしょうか。そしてまだ幼い子供である事からも、保護者を含めた大人の強い意思とそれに対する防衛本能がそこに働いている事は間違いのないことであります。この保護者(子供の父母)の意思は、体操教室、クラブの指導者、経営者でも止める事が難しいのです。

多分、この度の「体操クラブ引き抜き問題を記者会見の後半に宮川選手が発言した真意は、暴力指導、パワハラ管理のテーマを補強する為のツールとして、宮川選手の会見原稿に加味したのも大人の知恵のような気がしてなりません。しかし、これは被害を受けたとする各体操クラブ関係者のストレスを宮川選手が自分に置き換えてチラッと陰に居る大人達が触れさせたのでないかと勘繰りたくなるような内容と発言でした。陰で、ごそがさと宮川選手に言わせる大人達は、何故堂々と問題を日本体操協会、スポーツ庁、文科省に公開質問状を提起しない、しなかったのでしょうか。これも大きな問題なのです。

著者は、このクラブ間の子供達の移籍問題の処理、解決が複雑で難しいとは思いません。強いて申し上げますと、このような問題があるにも関わらず関係する大人達が何もされて来なかった事が最大の問題であると思います

この問題に付いては、優秀なそのクラブのスター選手を他のクラブに移籍される事は何にも代えがたい事であり、その痛みは如何ほどのものかその立場に遭遇して初めて感じるものです。この問題の本質は、全日本ジュニア―体操協会の理事長が長年私物化していた事から私欲に走り解決する情熱も技量が無かった事旧理事長氏の死後、現新理事長は、本宮川問題の最大の擁護者の一人でもあり、当時TV、マスメディアに於いて塚原夫妻降ろしの筆頭に立っていた体操界のTVタレントさんの様でした。もう1つは、日本体操協会の担当責任理事が全く問題を封印して議題にもしなかったのだと推測します。

一般財団法人全日本ジュニアー体操連盟(略:JJGF)は、その体操クラブの選手登録、クラブ登録をしている組織、団体であるはずです。そして、その連盟の上部団体は、公益財団法人日本体操協会であります。先ず、JJGFに大きな問題があると思われます。JJGFは、何故加盟クラブ間に於ける選手の移籍に関する協定書(引き抜き防止協定書)を作成し、全加盟クラブの代表から同意の署名を取り共有しないのか。

加盟クラブから違反行為とみなされる申し出があれば、連盟は速やかに連盟が常設した調査委員会を招集し裁定を測り、違反行為とみなされた場合は、速やかに選手側、受け入れクラブに対してペナルテイーを与える事が必要且つ、組織としての責務であると思います。関係者は、何故この協定書を作ろうとしないのでしょうか。

このような組織、団体に於いて、連盟に明文化された協定書も無い状況である事を棚に上げて、TV、マスメデイアを利用して騒ぎ立てるのは、余りにもスポーツ・アドミニストレーションのレベルの低い人達により連盟、協会が運営、管理している事を公言しているに等しいと思われます。運営、管理の最低限の知識と思考力のある人材の確保が先ず先決だと思いますが、如何でしょうか。

民間クラブ選手を大学が勧誘する問題

クラブ間移籍問題は、JJGFの協定書の作成と実施が重要である事を述べました。しかし、クラブ選手の大学体操競技部への勧誘(リクルート活動)は、現在の日本の大学競技スポーツにはルールブックたるものが存在しない、いわば運営、管理に於いて無法地帯(Out of Law)同然な状態である事から、公益財団法人日本体操協会は、同法人傘下のクラブ組織、団体、大学組織、団体を翼下に持つ団体として、体操クラブと大学間に於ける「協定書」の作成と履行が急務であると思います。此処に於いても、双方は、「言わなくとも判っているだろう」の非常識な非現実的な考え方でなく、判らないから不平不満が山積する原因を作っている事を肝に銘ずる事です。内村航平選手(当時朝日生命体操クラブ)の日体大の強引な勧誘事件は、その後大きな禍根を残し内村選手の心は早々に日体大から離れて行ったのがその一例かも知れません。

筆者の素朴な疑問とまとめ

本件を正攻法で解決する唯一の方法は、JJGFJGAに於いて「協定書」を作成し、それをオーソライズする事をお勧めします。

著者は、その中の何軒かのその事実を確認しています。それは、被害にあったクラブ、教室にとっては何にも勝る損失と痛みであった事と思います。これは、まさに泥棒か詐欺の極みです。その中には、引き抜きを目的とする側以外にも本人の意思にあらず、父母が持ち込んできている事実も多々ある事を見逃してはなりません。

しかし、著者が述べましたように協会、連盟主導で「協定書」を作成して加盟クラブ代表が同意していたなら全く心配なされる事も、弁護士に弁護士費用を払う事も無いと思います。一日も早く、関係者一同がポジテイブな協力と行動を起こして一歩前に前進する勇気と行動力に期待しております。

告発者の発言の矛盾が本件の真相を露呈

この度の告発者の宮川選手(未成年)は、コーチから想像を絶する身体的な暴力を繰り返し受けながらも、恐怖心を覚えるどころか、両親共々その暴力を容認し、引き続き指導して欲しいと考える類の持ち主でした。これらの関係は、男女のSMの世界を楽しんでいる様子さえ想像する次第です。

しかし、コーチ以外の塚原夫妻から受けた言葉に対しては「怖いと感じた」と容認できず、パワハラを主張しました。一般的に考えると、肉体的な暴力の方が恐怖心を覚えると思われますが、読者の皆さんは如何でしょうか。また、肉体的な暴力にさえ恐怖心を抱かない人物が、言葉で強く言われたから「怖いと思った」というのも何か釈然としません。この矛盾とギャップに対して、著者は、何処かこの宮川選手の告発発言は特異な作為、他意があっての会見であったのでないかと推測したくなりますが、不自然でしょうか

著者は、この事実が明らかになった時点で、日本体操協会、JOC、スポーツ庁、文科省は、これら関係者達の異常な精神、心理の鑑定を専門家に委託して、専門家の報告を確認の上、協会責任者の記者会見はなされるべきであったと確信する。これは、スポーツ・アドミニストレイターとしての視点で申し添えます。

この度の塚原夫妻は、毅然とした対応を成されるためにも、本件に関わった関係者に対して「名誉棄損」で司法に持ち込まれるべきであったと思います。両氏の後ろ盾に朝日生命社に長年お世話になっているので、ご迷惑をおかけしない為にも遠慮されたことが、後に塚原夫妻は、問題の本筋を司法の場で正せなくしてしまったと考えられます。これは、日本体操協会にとっては好都合な逃げ道を与えた事になったのです。そして、結果として東京五輪後後ろ盾の朝日生命社は、体操界からのスポンサーシップ並びに朝日生命体操クラブから手を引く「口実」を会社の新体制の経営陣に与えてしまったと思う次第です。

以上、著者の私見を交えた本件に関する見解を述べさせていただきました。読者の皆様の中には、真相を知り耳障りになられた方もいらっした事でしょう。大多数の読者の皆様には、ご参考に成りましたら幸いです。

この様な体操界の組織・団体の中で日本女子体操界の発展と強化を夢見、生涯をささげて参られた「塚原千恵子(旧姓小田)」氏の信念とその情熱に対して、著者は、心より哀悼の意と敬意を表したく思います。どうか肩の荷を降ろされて、本来の平和で穏やかな笑みを見せて下さい。ご冥福をお祈りいたしています。

文責:河田弘道

スポーツ・アドミニストレイター

スポーツ特使(Emissary of the SPORTS

紹介:G-File「長嶋茂雄と黒衣の参謀」発行文藝春秋社 著 武田頼政

本著は、200610月発売、翌年完売の為現在はAmazonで中古オークションで入手可能。河田弘道の西武・国土計画、東京読売巨人軍での激闘の日々のドキュメントです。登場人物は、全て実名です。

Kファイル、KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

お知らせ:

体操ニッポンの危機は、五回に渡り掲載させていただきました。如何でしたでしょうか。読者の皆様には、少し日本の競技スポーツ界の実態を垣間見られたのではないですか。こんなことで驚いてはいけません。お休み中に是非「G-ファイル、長嶋茂雄と黒衣の参謀をお読みください。文藝春秋社、著 武田頼政です。先日死去されました「渡辺恒雄氏」、「堤義明氏」、「長嶋茂雄氏」の実像とその日常が克明にご報告させて頂いています。

渡邉恒雄氏へのお別れのご挨拶:

KファイルNews Comment by Hiromichi Kawada

スポーツ・アドミニストレイター 20241223日 faceBookXに掲載済

渡邉恒雄様:心よりご冥福をお祈りいたします。

G‐ファイル「長嶋茂雄と黒衣の参謀」を読まれて、貴殿の判断で人事処理をされた事は、評価しています。小職の退任後、貴殿と約2年間コミュニケイションを致した日々が懐かしいです。貴殿が社内外に対して一度も誰にも「G‐ファイル」に対する暴言を口にされなかったは、さすがと評させて頂きます。

小職の事が、貴殿の喉に小骨が刺さっていた事は、承知致しております。貴殿の部下の大切な人とそのご家族を氏家斎一郎氏にお願いしました。同氏は、貴殿に代わって手を差しのべられフォローをされた事を今尚記憶しております。どうかご安心して旅路に着かれて下さい。東京読売巨人軍は、永久に不滅とは参りません。貴殿の様な強いリーダーが居なくなりましたので、今後は激しい荒波で迷走を余儀なくされるかと思われます。貴殿は、生涯を政治ジャーナリストして貫かれ日本のジャーナリストの鏡です。貴殿の心残りは、これからの日本国の行方でしょう。現日本政府が沈没しないように確りとした羅針盤を届けてあげて下さい。お疲れ様でした。深謝

河田弘道 拝

コメント

このブログの人気の投稿

Kファイル╱スポーツドクトリンNO.228:五輪メダルは限りなく変色して行く “日本人体操選手の飲酒喫煙の内部告発による出場辞退”

Kファイル╱スポーツ・ドクトリンNO.305:日体大器械体操部OG、OBの領地争いで漁夫の利を得たのは協会の新体操陣営か